第25回 『“いいことをしたら褒める”は正解?』
「いいことをしたらもちろん褒めますよ~」と言う方がほとんどですが
なかには「褒めると調子に乗るから適度に褒めてます」と言う方も・・。
そんな可哀想な!!全然、調子に乗らせていいんです。
どんな些細なことでも拾いこぼすことなく、全部褒めて、
天狗の鼻を伸ばすように自信満々にして育ててあげて下さい。
世間はそんなに甘くないですから、一歩外に出れば、伸びた鼻はポキンと折られて
帰ってきます。そうしたらまた家で手当てして伸ばして送り出してあげます。
いいことをして褒められると自分が何をしたらいいのかがわかります。
こどもが意識しておらずに“偶然したいいこと”であっても
それが親にとってありがたいことやいいことであれば、
こどもがたまたまそうしただけということを意識させずに、
あえてこどもが“意識的にしたいいこと”であると“勘違いして”褒めてください。
例えばこどもが通路を歩くときに邪魔だったから
自然に椅子をどかせただけであっても、
「あ、椅子をどかせてくれてありがとう」と褒めると
“通路の障害物をどかせると褒められる”ということを学習して
自分にとって不都合(邪魔)でないときでも、
物を移動させるという行為をするようになります。
人は褒められると“気持ちいい”ので次からまたその“気持ちいい”を感じるために次からは意識して同じ行動をとるようになります。
“気持ちいい”はやる気を促進しますから
“いいことをしたら褒められる”を繰り返し体験すると
だんだん自分から
“気持ちいい(褒められる行動)”を探して行動するようになります。
また、いいことをして褒められていると
“いいことをする自分”といった自分のイメージができあがってきて
さらにその行動は強化されていきます。
ただし、“いいことをしたときだけ褒める”は危険です。
いいことをしたときだけしか褒めてもらえないと
『いいことをするあなたが好き』のメッセージとなります。
すると“いいことをしていないときの自分は愛されないんじゃないか”という不安を抱えるようになります。
自分の存在価値は“いい子であること”であり、
“いい子でない自分”には存在価値を見出せなくなります。
その結果、駆り立てられるように頑張り続けるようになります。
どんなに辛くても親からの無意識の励ましを感じ、
途中で諦めることや投げ出すことをさせてもらえなくなります。
結果が出せているときはまだいいですがいつもうまくいくわけではありません。
また四六時中、『いい子』でいることは疲れます。
そうなると人と比較されないことや得意なことには積極的に手を出すけれど、
そうでないことや、疲れること、自分の実力が測られるようなことには
もっともらしい理由をつけてチャレンジすることなく、逃げるようになります。
『過ぎたる励ましは虐待、過ぎたる頑張りは自虐』で頑張り続けた結果、
周りの期待や自分のプライドから引き下がることもできず、
その生き方を死守するため自ら人生のステージを降りてしまうこともあります。