第103回 軽い注意は、そのときにしなくていい
子どもを見ているとハラハラすることもあると思います。ママ友の手前、周囲の目、子どもの友達の反応など。誰がいるわけでもないときでも、「あーあー、そんなふうにしなくても・・」「いやいやそうじゃなくて・・」そんなふうに要領の得ない子どもに、ただただ、じれったかったり、イライラしてきて、手を貸してしまったり、また、言い間違いなどをすぐ訂正してしまっているかもしれません。人前だった場合にママが気にするのは、子どもが恥をかくことへの心配や、自分の体裁です。人前でやってしまったあと、いってしまったあとは、それをなかったことにはできません。ママは自身の“注意した”ことによって“無知ではない”などの体裁を保てるかもしれませんが、子どもは、そのミスを強調されることになり、もっと恥ずかしい思いをします。また、話をしているときに言い間違いなどを指摘し、訂正すると話しの腰を折ることになり、話の流れを止めてしまいます。人前でなくても自分自身で恥を感じ、嫌な気持ちになり、話に集中できなくなってしまいます。あるいは話をしたくなくなります。もしも、そのときすぐに注意しないと、命にかかわることや事故につながること、その場で注意をしないと人に迷惑をかけることになるなどではないならば、その場は口を挟まずに黙って見守っていた方が、視野を広くしてみたときに有意義です。
できないことに関しては、そのときにうまくいかないことで子どもは“考える”という、脳の中のスイッチが入ります。もしも、子どもがパニックになっていたとしても、ガマンガマン。温かい無視を。いつもなら、そういう姿をママにみせれば「あ~あ~、ほら、こうよ!」「こうしなきゃ」「だめよ~、どうしてこんなことするの~?」なんて、ママは飛び出してくるのに、来ないと、“あれ?あれあれ??”と動きが止まるか、待つか、もっと騒いでみせるか、とママをおびき寄せる餌を撒いてくるかもしれませんが、“放置”です。“来ない・・”となれば、考えます。この“考える”という作業が大事なのです。
〇その場で注意することの害
①恥をかかせることになる
②自分で考えないでおこうと無意識に思わせてしまう
③精神的に成長しない
④対処能力が育たない
⑤危機管理能力が育たない
⓺自分はダメな子と思うようになる
⑦自信が育たない
〇正解を教えるタイミング
「でも、そのとき教えないとあとで困るんじゃ・・」とおっしゃられますが、そんな急を要するようなことはほぼありません。数日後に、テレビを見ているときのタイミングや、何か似たようなことをしているタイミングに絡めて、さりげなく、その内容を出して間接的に伝えればいいのです。正解さえわかれば問題のないことで、「あなた、あの時、間違っていたよ」とたしなめる必要も、間違っていたことに気づかせる必要もないのです。
〇注意をそのときすぐにすると、感情的になるが、時間が経ってからだと冷静に受け止められる
例 できなかったこと➡「ちょっと、手伝ってくれないかな?」と言って呼び寄せて、目の前でやってみせる。必ず、手伝ってくれたことに「ありがとう」をいう。子どもに「〇ちゃん、次やって」とお願いし、できなさそうなときに「次はママが手伝うね!」と言って手伝っているふりをして、覚えさせる。
例 知らなかったこと➡話題に出して、“知る”に導く。「そうそう、テレビでやってたんだけどね、」など。
例 言い間違いや覚え間違い➡「今日、ママ、〇〇って、おばあちゃんの前で言い間違えちゃって・・あはは。恥ずかしかったぁ」
例 ストレートに素直に言う「そうそう、こないだ、〇〇って言ってたけど、もうわかった?」「おととい、〇〇って言ってたけど、言い間違い?覚え間違い??」「あ、そういえばあれ、できるようになった?」と無邪気にあっけらかんと聞く。
〇もしも、「どうしてそのとき言ってくれなかったの?」と逆切れしてきたら・・
「あらそう?」「わかった!つぎはそうする!」と素直に受け止める。ひらりとかわすイメージ。
逆切れに特別な反応をみせない。逆切れはネガティブな感情を自分で処理しきれないために責任転嫁する心理なので、あえて、その感情を処理することを手伝ってあげない。
勝手な怒りに対して「なに言ってるのよ!あなたのためを思って言わなかったのよ!?」などの怒りで対抗しない。理不尽な攻撃に対して「そうか、言えばよかったね。ごめんね」などと謝らない。
✖「イヤイヤ、それは違うよ」その場で否定 〇「ふんふん」そのまま、スルー